康綺堂の本読み備忘録

読んだ本の感想や探偵小説の考察等のブログです。

気分は全集

柏書房から全6巻で刊行された「横溝正史ミステリ短篇コレクション」は、可能な限り初出誌を参照したうえでの角川文庫版の合本という形で膨大なノンシリーズ作品をまとめ、絶版になって久しい角川文庫版に代わる実質的な「全集」のような側面を持っている(と私は勝手に考えている)。是非由利・三津木シリーズや人形佐七にジュヴナイル作品、そして金田一耕助シリーズに続いてほしいものだ。

さて、その「全集」である。

私は、探偵小説は可能な限りたくさん読みたいタイプで個人全集等は至高のお宝として珍重しているクチなのだが、頭を痛めるのは欲しい「全集」がすごく昔に絶版になっていて、しかもなかなかの古書価がついていること。
国会図書館青空文庫等を利用するのが一番の手段だが「あの作品の定本版全集はいつの日か出るのだろうか」と休憩時間や寝る前の一時に思うのもしばしば。未収録作品を収めた単行本の予約をしつつ、ふと「とりあえず、近所の図書館に所蔵されてる本や手持ちの本で気分だけでも全集が組めないだろうか」と考える。
とにかく、その作家の作品を、なるべく重複しないで集めてかつ読みたい。誰でも一度はそう思うはず。
ベースを作って、そこから過去の単行本や初出誌に手を出すのもいいかな、なんてのも。
そんなこんなで、今現在自分なりに考えているのが、こんな感じ。

甲賀三郎→論創ミステリ叢書の既刊三冊、春陽堂からの創作編復刻版二冊、沖積舎の復刻版『犯罪・探偵・人生』、春陽文庫版『妖魔の哄笑』、河出文庫版『蟇屋敷の殺人』光文社文庫の『ミステリー・レガシー』、国書刊行会の探偵クラブ、創元推理文庫版「日本探偵小説全集」第1巻。手持ちからは新潮社版新作探偵小説全集の『姿なき怪盗』(函欠)に盛林堂ミステリアス文庫の『印度の奇術師』と『浮かぶ魔島』……思い浮かぶ限りです。他にもまだあるかもしれない。確か、河出書房新社からまた出るはず。

他にもスマートなやり方があるのかもしれないが、
大下宇陀児も似たような形。論創の二冊に国書刊行会の探偵クラブ、河出文庫春陽文庫版、私家版で復刻された『空魔鉄塔』など。

戦前刊行された新潮社版「新作探偵小説全集」は水谷準などがネックだが、夢野久作全集の他、河出文庫版や「幻影城」誌(橋本五郎の『疑惑の三』が再録されている)等を活用すれば、何とか出来なくもない気はする。


続々と増える積本、公私ともにバタバタと忙しいなか、なんちゃって全集気分でちまちまながらもルンルン気分で読んでいきたいこの頃です。