康綺堂の本読み備忘録

読んだ本の感想や探偵小説の考察等のブログです。

誕生日の話

昨日5月24日は横溝正史の誕生日。

14歳になる春、稲垣吾郎版『犬神家の一族』をみて感動し、次回作とされた『八つ墓村』の原作を読んで更にハマり……という経緯は以前から話している。思い出せる限りだが、梅雨入り直前のこの時期の私は『悪魔の手毬唄』『悪魔が来りて笛を吹く』『犬神家の一族』と読み進めていた。角川書店のハードカバー版『八つ墓村』(トヨエツ金田一の表紙のアレ)の巻末に載っていた作品リストを参考にしながら「次はどの話を読もうか」と思いを馳せていたものである。
当時、ネットが使える環境が非常に限られていたので、得られた情報は本当に貴重だった。
金田一耕助 The Complete』を手に入れるまでは、前述の『八つ墓村』巻末リストの他『横溝正史に捧ぐ新世紀からの手紙』を頼りにしていた。
(『金田一耕助99の謎』は図書館に蔵書が無かったか、見つけられなかったかでずいぶん後になって読んだ。)
そしてこれらのリストを基に読了ポスター(現存せず)を自作して、一作読み終わる度にチェックを入れニマニマしていたのも良い思い出だ。大人向け作品は「鏡が浦の殺人」(角川文庫版『扉の影の女』収録)ジュヴナイルは「黄金の花びら」(出版芸術社版『横溝正史探偵小説コレクション3聖女の首』収録)でゴールしたと思う。

横溝正史金田一耕助を出発点として、その後探偵小説そのものに興味を持った。それまで敬遠していたSNSの類いを始め、遠方への旅行やイベント・研究会への参加、考察や感想など自分の意見を述べる機会が格段に増えた。友人・知人もたくさん出来た。横溝正史の娘さんとお会いして、しかも直接話をしたなんてあの頃の自分が知ったらどんなに驚くだろう?

実をいうと、私の誕生日も近く(5月28日)横溝正史との付き合いも15年近くになる。思えば、長い付き合いになっている。
横溝正史先生、そして金田一耕助さん。これからもあなたの作品を読み続けます。

さて、何を読もう?
『本陣殺人事件』と『犬神家の一族』を繰返し読んでいたから久々に『悪魔の手毬唄』とか『仮面舞踏会』もいいな。短篇の、それも改稿前のバージョンなんてのもいいかもしれない。いやいや、せっかく『横溝正史ミステリ短篇コレクション』と『由利・三津木探偵小説集成』が出たのだし、それを。うむむ、人形佐七捕物帖を中心に時代物を…………