康綺堂の本読み備忘録

読んだ本の感想や探偵小説の考察等のブログです。

悩ましき新刊準備

桜が満開、春爛漫と浮かれていたらもう4月の半ば。浮かれた挙げ句3月のブログをすっぽかしてしまい……汗顔の至り、大変申し訳ありません。

さて、本業に翻弄されながらも新刊準備を少しずつ進めている。

金田一耕助の復員考」を最優先にしているのだが、色々と悩みはつきない。一番の悩みは肝心要の「復員」と「引揚」についてどう説明したらよいか、原作でも言及のあったニューギニアビルマの戦いやシベリアからの復員についてもどこまで説明したらよいか……である。あくまで横溝正史作品と金田一耕助シリーズについての考察本なので説明内容を深くし過ぎるとテーマが脱線するおそれがあるし、簡潔にし過ぎると時代背景がわからなくなる……生半可な知識や文章ではいけないが、うーむ悩ましい。

目次というか収録予定の話をメモに書き出してみたが、やはりというか『犬神家の一族』関連の話がウェイトを占める。『獄門島』と表裏一体の件、『車井戸はなぜ軋る』からの発展、坂口安吾『復員殺人事件』との比較、竹山道雄ビルマの竪琴』を通して見る『犬神家の一族』……。

『本陣殺人事件』ではすでに相当のキャリアを持つ名探偵として描いた金田一耕助になぜ「復員経験者」としての経歴を付与したのか『獄門島』を中心に考察する「金田一耕助の復員考」のメイン部分は書けたが、あとはどう膨らませていくか……

民間人の「引揚」を巡る事件でもある『黒猫亭事件』と『湖泥』をどう考察するか。

金田一耕助シリーズ全体における「復員」の描写から見えたもののまとめ等々課題はまだまだ山積み。目指すは『獄門島』開幕と同じ9月下旬。さてはて……