康綺堂の本読み備忘録

読んだ本の感想や探偵小説の考察等のブログです。

続・読書会本校正補助打ち明け話

風々子さんが発行されている『横溝正史読書会レポート集』シリーズ。その最新巻である第三巻が今年令和五年九月に刊行された。私康綺堂は前回前々回に引き続き今回の第三巻も校正補助という形で本づくりのお手伝いに参加させていただいた。ここでいう校正補…

読書会本校正補助打ち明け話

風々子さんが発行されている同人誌『ネタバレ全開! 横溝正史読書会レポート集』第一巻と第二巻について打ち明け話を少し。 横溝正史ファンによる読書会は二〇一六(平成二十八)年から盛んに行われてきた。二〇二〇(令和二)年からは社会情勢の大きな変化…

悩ましき新刊準備

桜が満開、春爛漫と浮かれていたらもう4月の半ば。浮かれた挙げ句3月のブログをすっぽかしてしまい……汗顔の至り、大変申し訳ありません。 さて、本業に翻弄されながらも新刊準備を少しずつ進めている。 「金田一耕助の復員考」を最優先にしているのだが、…

気がつけば春目前!

なんと去年の12月からブログをすっぽかしていた!!なんてこった。12月は心身の不調、1月は職場でのクラスター対応に追われあっという間に2月。若干のバーンアウト状態を経て気づいたらバレンタインも過ぎもうすぐ3月弥生ときた。時の過ぎるのは早い。…

初出誌と現行版の『女王蜂』

※※※横溝正史『女王蜂』の終盤、真相部分に触れています※※※ 今年になって、雑誌「キング」の横溝正史『女王蜂』最終回掲載号を手に入れることが出来た。昭和27年5月号、表紙の青空に舞う鯉のぼりが季節を感じさせる。 『女王蜂』は私の偏愛横溝正史作品の一…

新刊について

昨年末から制作していた新刊『康綺堂の推察ノート Vol.2』がついに完成した。テーマは「岡-村探偵小説案内」。横溝正史『本陣殺人事件』を中心に、作中やエッセイで言及されている国内外の探偵小説についての紹介と考察・小話で構成された一冊となった。 『…

あっという間に2ヶ月過ぎて

あやうく2ヶ月もブログをすっぽかすところであった。8月中旬から下旬にかけての自宅療養を経て、なんとか元気を回復しつつある。 新刊の準備もいよいよ大詰め、なのだが、チェックすればするほど文を追加したりするから、いつ終わるのやら…… 10月、新刊に…

乱歩作品の思い出

昨日28日は江戸川乱歩の命日であった。 普段、横溝正史についてはよく語っているが江戸川乱歩についてはあまり語ったことがないような気がするので、この機会に少し。 江戸川乱歩の名は小さい頃に母親から聞かされてはいたが、まだピンと来ていなかった。実…

なんともはや……

またもや月末日になってしまった…… 今年に入ってからこんな感じで情けない限り。梅雨明けの報もあり夏もすぐ到来となんともはやである。 最近は、同人誌の続刊もだがコンビニのネットプリントサービスを利用したフリーペーパー作りも進めている。いずれも横…

横溝エッセイについて

本日24日は横溝正史先生のお誕生日。 近年、作品の復刊や新しい作品集の刊行が盛り上がっている。今月には柏書房より『横溝正史エッセイコレクション』も発売となり、人生で大切なことの大半というか+αを学んだ者として、ファンの一人として本当に嬉しい限り…

個人的「車井戸はなぜ軋る」メモ

※※横溝正史「車井戸はなぜ軋る」大下宇陀児「偽悪病患者」の真相・トリックに触れています※※ 横溝正史「車井戸はなぜ軋る」の再読を繰り返している。初めて読んだのは14歳の師走。金田一耕助がほとんど登場せず、全編を覆うヒリヒリするような憎悪と恐怖と疑…

落ち着いた話

昨年末からこなしていた、依頼・募集分原稿の数々が、今月でようやく落ち着いた。こうやってあちこちに掛け持ちしながら書いたのは、たぶん初めてのことで少しホッとしている。 テーマに沿って書くわけだが、当然最初はぼんやりしている。なんとなく「あれに…

現況!

またもやギリギリになってしまった! ボワーッとしてたらバタバタしてたらあっという間に月末、ブログを書かねばと思いながら過ごしていたらこの有り様である。 いやはや面目ない。 さて、去年の年末から原稿にマダミスのシナリオと「はて、こんなにあっちこ…

実は2022年最初の記事です

このブログを立ち上げてからだいぶ経つ。 新年の挨拶記事は欠かすまいと思っていたが、やってしまった。1月の記事を完全にすっぽかしてしまった。いや、仕事とか忙しかったのもあるけど、ううーん。 さて、この記事が2022年最初の記事となる。 相変わらず仕…

私の2021年

2021年、この1年はゆるやかに始まり、慌ただしく過ぎていった……という印象である。 「予想外」というのも、個人的にこの1年を表す言葉だと思う。 同人誌を刊行したこと。原稿作成から製本発注、通販まで自分でやり遂げるとは思わなかった。しかも、自分が…

一柳三郎の本棚

※※※横溝正史『本陣殺人事件』について若干のネタバレがあります※※※ 横溝正史『本陣殺人事件』において謎解きの重要なカギとなるのが、探偵小説マニアである一柳三郎の本棚の存在である。彼の本棚は金田一耕助が驚嘆するほどの品揃えであり、地の文でも「探偵…

原稿と感慨 ー横溝正史のジュヴナイル作品

柏書房の『横溝正史少年小説コレクション』は、この記事を書いている段階で5冊目『白蠟仮面』が刊行されたばかりである。 横溝正史のジュヴナイル作品といえば、私は角川文庫版で楽しんだものだが、今回改めて、初出・初刊ベースの文章で読み直していると、…

偏愛横溝短編の話

先月から、Twitterのスペース機能を利用した風々子さん主催のオンラインイベント『偏愛横溝短編を語ろう』にゲストスピーカーとして参加している。 このイベントはタイトルにもあるように、自分が愛してやまない……すなわち「偏愛」の横溝正史作品について語…

8月の活動報告

今月は活動報告を バタバタとあっという間、暑い日と土砂降り続きの日のギャップが激しく、この記事を書いている今も「8月、夏もそろそろ終わり」ということにイマイチ、ピンときていない。 今月は風々子さん主催、Twitterのスペース機能を利用したオンライ…

個人的『蝶々殺人事件』メモ

※※※横溝正史『蝶々殺人事件』『本陣殺人事件』クロフツ『樽』ドゥーゼ『スミルノ博士の日記』についてネタバレがあります※※※ 横溝正史『蝶々殺人事件』を再読したので少し。 ○作品の印象 作品そのものの印象は、スバリ「華やか」である。歌劇――オペラ……芸能…

本の進捗

このブログもなんだかんだで3年目。 相変わらずの月イチ更新ですが、 今後ともよろしくお願い致します。 さて、現在このブログに掲載した横溝正史と夢野久作関係の記事を加筆修正ないし改稿したものを1冊にまとめるべくヒイヒイ言いながら編集中である。休…

金田一耕助の復員ルート

横溝正史の金田一耕助シリーズは、特に初期の作品は戦後間もない時期に発表されている為か戦地から帰還……復員が事件に深く関わっているものが多い。 名探偵・金田一耕助も復員兵としての経歴を持つが、そのことについて触れている描写は意外と少ない。私が把…

個人的『壺中美人』メモ

※※※横溝正史『壺中美人』「壺の中の女」についてネタバレしています※※※ 横溝オンライン読書会、今回は『壺中美人』がテーマである。本作の個人的な感想を、覚書程度に。 「壺中美人」こと楊華嬢の正体とその末路が印象的だったが、今回改めて読み返すと、自…

「押絵の奇蹟」から横溝作品へ

※※※夢野久作「押絵の奇蹟」横溝正史「面影双紙」「蠟人」の重要な部分に触れています※※※ 以前、夢野久作「押絵の奇蹟」と横溝正史「孔雀屏風」『八つ墓村』の共通点、影響の具合について考察を試みたことがあったが、その後、他の人に教えていただいたり、再…

悩ましき二大長編について

※※※横溝正史『八つ墓村』夢野久作『ドグラ・マグラ』のネタバレがあります※※※ 数年前から、どう挑んだものか、どう形にしたものかと悩みに悩んでいたテーマがある。 「横溝正史『八つ墓村』と夢野久作『ドグラ・マグラ』について」だ。 正直、自分自身の中で…

チョコっと小話

去る2月14日はバレンタインデー、バレンタインデーといえばチョコレートである。 チョコっとした小話を少し。 チョコレートを口に含んでウイスキーをちびちびやるのがこの時期の個人的な楽しみなのだが、このやり方をどこで知ったかといえば、江戸川乱歩の…

個人的『びっくり箱殺人事件』メモ

※※※横溝正史『びっくり箱殺人事件』ディクスン・カー『盲目の理髪師』クレイグ・ライス『素晴らしき犯罪』のネタバレがあります※※※ 去る1月23日に開催されたオンライン読書会に合わせて横溝正史『びっくり箱殺人事件』を再読した。初読は確か中学3年、15…

思い出のエラリー

現在私は時間を見つけて某会の会報用アンケートを少しずつ書いているのだが、ふと、エラリー・クイーンの名前を最初に知ったのはいつごろだったっけと思った。 今回はちょっと思い出に浸ってみたいと思う。 エラリー・クイーン(に限らずディクスン・カー等の…

『岡―村探偵小説案内』の構想について

※※※横溝正史『本陣殺人事件』のトリックについて言及しています※※※ 昨年の千金では『本陣殺人事件』における実在する探偵小説の言及についての小文「岡-村探偵小説案内(連想編)」を作成した。 現在続編にあたる「本棚編」を執筆中、「真相編」を構想中である…

個人的『幽霊男』メモ

※※※横溝正史『幽霊男』「一週間」ピエール・スヴェストル/マルセル・アラン原作『ファントマ』アガサ・クリスティー『ABC殺人事件』についてネタバレしています※※※ 去る24日に横溝オンライン読書会が行われた。お題は『幽霊男』である。開催に先立ち、この作…