康綺堂の本読み備忘録

読んだ本の感想や探偵小説の考察等のブログです。

横溝エッセイについて

本日24日は横溝正史先生のお誕生日。

近年、作品の復刊や新しい作品集の刊行が盛り上がっている。今月には柏書房より『横溝正史エッセイコレクション』も発売となり、人生で大切なことの大半というか+αを学んだ者として、ファンの一人として本当に嬉しい限りである。

 

『探偵小説五十年』や『探偵小説昔話』『横溝正史読本』『書かでもの記』等は日本における探偵小説文壇の歴史を、その真っ只中で見てきた人物の証言として貴重なものであるし『金田一耕助のモノローグ』は岡山疎開時代の記録、名探偵と名作誕生秘話として、そして加藤一氏をはじめとする人々との交流と友情の物語として素晴らしいエッセイである(最後の章は、いつ読んでも目頭が熱くなる)。

エッセイを読んで作者の人となりに惚れ込んだ、惚れ直した、という方もおられるだろう。私にとってのそんな一冊、私のお気に入り横溝エッセイ、それは『真説金田一耕助』である。

横溝ブーム真っ只中の70年代における横溝本人の本音、体調、代表作の構想執筆秘話が和田誠氏のイラストとともにユーモラスたっぷりに書かれたこの一冊は、作品を次々に読み進めていた中学時代の私にとって作品と巻末解説でしか知らなかった横溝正史という人物の人となりを知る貴重な一冊であった。

津山事件や古今東西の探偵小説の知識もはじめて詳しく知ったのはこのエッセイであった。高校に入学してから探偵小説にはまり込んだがそれに至るまでには様々なガイドブックやエッセイとの出会いがあった。『真説金田一耕助』はその中でも大事な一冊なのである。

 

冒頭で記したように、本日24日は横溝正史先生のお誕生日。間もなく手元に届くであろうエッセイ集を待ちながらこの日を祝うのである。