康綺堂の本読み備忘録

読んだ本の感想や探偵小説の考察等のブログです。

金田一さんの復員考・メモ

※※横溝正史『獄門島』『犬神家の一族』「殺人鬼」「火の十字架」のネタバレ、トリック言及があります※※ まだ少し陽射しは強いし、蝉の声も微かに聞こえるが、風は涼しい。少しずつ確実に秋は近づきつつある。 『獄門島』原作を再読すると、金田一耕助が島を…

2年目の近況

完全に忘れていたが、今年の6月で当ブログは開設2年目を迎えていた。ただその当時、由利先生と吉川晃司フィーバーの真っ只中だったので、仕方がない。 さて、最近ついに冊子を作り上げた。 全集の月報風差し込み冊子は昨年の千金に合わせて作成したが、今回…

由利先生!!

※ドラマ『探偵・由利麟太郎』について ややネタバレありなのでご注意下さい! 今回も『探偵・由利麟太郎』について。 第3話は『殺しのピンヒール』原作は「銀の舞踏靴」 3人のモデルと事務所の社長、そしてモデルの夫となかなかにギスギスした雰囲気が色々…

由利先生!

『探偵・由利麟太郎』がスタートした。 「花髑髏」と「憑かれた女」そして「銀色の舞踏靴」を原作とした「殺しのピンヒール」が6月分の放送である。7月には『蝶々殺人事件』を原作とした「マーダー・バタフライ」が前後編で放送予定だ。 今この記事を書いて…

ツイキャス縁起

今年の4月からツイキャスを利用し始めた。 以前からTwitterのタイムラインで度々見かけており、気にはなっていたが、なかなか手が出せずにいた。仲間内から「Skypeを利用した読書会」や「オンライン横溝飲み会」の話が出てくるうち、「じゃあこの際やってみ…

『犬神』な『博士』と『一族』(全)

※※※横溝正史『犬神家の一族』(つのだじろう版含む)夢野久作『犬神博士』の重要な部分に触れています※※※ 以前から横溝正史と夢野久作の関連性的なことを テーマに研究を行っているのだが、 そのキッカケは横溝正史『犬神家の一族』と 夢野久作『犬神博士』に…

「犬神」を巡る2人の作家

全3回の最終回。●作者の側から横溝正史『犬神家の一族』が発表されたのは 雑誌「キング」において。昭和25年新年号~昭和26年5月号連載。 夢野久作『犬神博士』は「福岡日日新聞」(夕刊)において。昭和6年9月23日号~昭和7年1月26日号連載。 言うまでもなく…

佐兵衛と二瓶

※※※横溝正史『犬神家の一族』(つのだじろう版含む)夢野久作『犬神博士』の重要な部分に触れています※※※前回に続きタイトルに「犬神」を冠した二作品について考えを述べたい。 なお今回も参照したのは 『犬神家の一族』は角川文庫版(昭和51年11月9日34版) 『…

『犬神』な『博士』と『一族』

※※※横溝正史『犬神家の一族』(つのだじろう版含む)夢野久作『犬神博士』の重要な部分に触れています※※※ 以前から横溝正史と夢野久作の関連性的なことを テーマに研究を行っているのだが、 そのキッカケは横溝正史『犬神家の一族』と 夢野久作『犬神博士』に…

ブックトークな「泣ける本」

去る3月14日はメトロ書店本店での「長崎メトロでゆるりとブックトーク」の予定であったが 諸事情で中止になってしまった。せっかくなので ブックトークの話を少し。 この会は月に一回テーマにそった本を持ち寄って 紹介するもので、3月のテーマは「泣ける本…

テーマを決めてあれやこれ

ここのところ休日にはメモ帳や原稿用紙に向かってあれやこれやと考えを巡らせる機会が 以前より多くなった、気がする。読んだ本の感想ももちろんだが、 考察……というには少し別なものの文が多いような。やはり横溝正史ネタが多い。たとえば 「横溝正史と将棋…

ドタバタスタート2020

2020年、新年最初の寄稿。 年末年始怒濤の連勤と月末の試験が落ち着くまではと思っていたらあっという間に月末。 いやはや弱った弱った……。 さてようやく落ち着いた最近は、 昨秋の千金で配布した「岡-村探偵小説案内」の 続編を推敲中である。 第2弾のテー…

振り返りと目標と2019

2019年も残りわずか。 振り返りと目標とかを。今年は初めて ・サイン会に参加 ・地元のミステリー研究会に入会 ・無料配布型のペーパーを作成・配布 した1年でもあった。 少しずつアクティブというかアグレッシブにはなりつつあるとは思う。 来年は千金だけ…

千金レポート2019 講演会編

熱気を帯びた千金の翌日24日(日)は 午後から倉敷市立美術館にて講演会が 開催された。講師はおなじみ網本善光さんと浜田知明先生。 網本さんは『八つ墓村』を中心に、横溝正史にとっての「岡山」について講演。・「岡山」と「」(カギカッコ)つきなのは 「横…

千金レポート2019

11月23日(土) 今年も「巡・金田一耕助の小径」(「千金」) に参加出来た。朝からカラリと晴れた青空、気温は昼までにぐんぐん上がり、熱気に満ち満ちた千金となった。続々と集まる参加者さんを出迎え(?)ながら 「さかんだなぁ、さかんだなぁ」とワクワク。犬…

読み直す話

うーん、弱った。 更新を「最低月一回」としているが、1ヶ月はあっという間で、その間スカラカチャカラポコハチャメチャのハチャハチャで、てんやわんやしているわけで、なんともはやである。そうしているうちに「千人の金田一耕助」(千金)まであと1ヶ月を…

メトロミステリー倶楽部9月の例会

9月20日はメトロミステリー倶楽部の例会。 場所は前回と同じくレトロな建物の市民交流センターにて19時からの開始。 今回は1月から入会された方と発足以来からのベテラン会員の方が来られていた。 各自オススメで紹介いただいたのが稲見一良作品 澁澤龍彦の…

夏の短文

夏が苦手で、毎年この時期は活気が停滞するのだが、今年はなんとか乗りきることが出来た。一つは函の製作。今年のはじめに手を出して止まったままだったギミック付函を完成させることができた。もう一つは千金の配り物にする予定の冊子の作成。『本陣殺人事…

歌留多読み手打ち明け話

ありがたいことに評判も良く、また色々と質問を頂くことも多いため、この場で少し覚え書きみたいなものを書いて打ち明け話としたいと思う。毎年11月に開催される「千人の金田一耕助」通称「千金」では、真備町民館岡田分館にて意見交換会が行われる。地元の…

メトロミステリー倶楽部の例会

去る7月19日、メトロミステリー倶楽部の例会に初めて参加してきた。長崎市内にあるレトロな外観の交流センターにて開催である。メトロミステリー倶楽部は、地元のメトロ書店が主催する団体で、20年近い歴史があるという。名前は聞いていたがつい問い合わせが…

開設1年目

今朝気づいたのだが、このブログを開設して 1年になる。 「最低でも月一回」と決め、今のところ結局その通りになっている状態でもうちょっと更新の頻度を上げられたらと思うこの頃。さて、今現在私は仕事でジタバタしている傍ら、鮎川哲也の鬼貫警部もの長…

誕生日の話

昨日5月24日は横溝正史の誕生日。14歳になる春、稲垣吾郎版『犬神家の一族』をみて感動し、次回作とされた『八つ墓村』の原作を読んで更にハマり……という経緯は以前から話している。思い出せる限りだが、梅雨入り直前のこの時期の私は『悪魔の手毬唄』『…

『魔眼の匣の殺人』サイン会と作品の感想 (ネタバレつき!)

※※今村昌宏『魔眼の匣の殺人』 アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』 横溝正史『獄門島』 のネタバレがあります。ご注意ください。※※ 去る4月13日、メトロ書店本店で開催された 今村昌宏先生のサイン会に行ってきた。実を言うと人生初のサイン会…

もっと「平成ミステリ」

この記事を書いているのが3月31日、明けて明日4月1日にはいよいよ平成にかわる新しい元号が発表される。先日、Twitter上で「平成年間に発表されたミステリのベストを決める」アンケートが行われた。 私も参加したが、さて結果を見てみると、その内容の豪華な…

堂廻面食の途中

昨年から夢野久作『ドグラ・マグラ』を沖積舎の初刊本復刻版で再読しているが、諸々の事情で絶賛停滞中である。かの有名な「スカラカチャカポコ」や「胎児の夢」の迷宮を抜け「空前絶後の遺言書」までたどり着いたはいいが、隠し撮り映画のくだりでストップ…

2019年もドタバタ!

年始からギッチリ組まれた勤務に翻弄されていたのもあって、2019年最初の投稿が今日になってしまった。いやはや申し訳ないです。 懸念であった研修(本業のね)もなんとか通信課題が落着き、春のスクーリングまで復習を繰り返しつつも多少ゆっくり出来そうで、…

大晦日ミステリで良いお年を!

色んな方からオススメのお声をいただき、 このブログを開設したのが今年の6月。 早いもので大晦日、日付が変われば 2019年。 今のところ最低月1回の記事更新と スローペース、相変わらずミョーな内容の話を 書いておりますが、来る新年も どうぞよろしくお…

中井英夫と聞いたらば

極めて個人的な感慨をダラダラと述べています。 「中井英夫」の名を聞いていつも思い浮かべるキーワードが「新青年」と「インフルエンザ」の二つである。まず、「新青年」について。中井英夫が戦前の雑誌「新青年」を蒐集していたことは彼自身のエッセイ等(…

千金2018

考察や感想ではないけれど、思ったことを少し。今年も、岡山県倉敷市真備町岡田を舞台にした 「1000人の金田一耕助」(以後「千金」)に 参加してきた。 今年は特別な年の特別な千金になった。 10回目の千金、7月の豪雨被害から復興の最中にあるなかでの千…

『犬神家』の場所の話

※『犬神家の一族』の真相に微妙に触れています。舞台版の公演間近、さらに新たなドラマ版の放送決定とますます注目が集まる横溝正史の『犬神家の一族』。原作を改めて再読すると、いやはや、やっぱり面白い。さて、この犬神家について、前回は原作中の「時期…