去る3月14日はメトロ書店本店での「長崎メトロでゆるりとブックトーク」の予定であったが
諸事情で中止になってしまった。せっかくなので
ブックトークの話を少し。
この会は月に一回テーマにそった本を持ち寄って
紹介するもので、3月のテーマは「泣ける本」であった。
本棚の前で小一時間悩む。
読み終わった後大号泣……というわけではないが、目頭がジーンとなったものは……と考えを巡らせる。
そして候補に挙がったのは
・泡坂妻夫『夢裡庵先生捕物帳』上・下(徳間文庫)
・横溝正史『雪割草』(戎光祥出版)
の2冊。
『夢裡庵先生捕物帳』は、泡坂マジックの見事さもさることながら、夢裡庵先生はじめ物語を読みすすめるうちに愛着の沸いてきた人物たちが幕末という激動の時代に生きる結末
『雪割草』はヒロイン有為子の波瀾万丈の人生に、掲載紙発見の顛末と巻末の野本瑠美さん(横溝正史の次女さん)によるあとがきの美しさ切なさ………
が各々印象に残った。
この2冊を行きつけの本屋さんで紹介出来たらなと考えていたが、いつか来るであろう機会に、改めて紹介したいと思う。
ところで、今回はブックトークで紹介する予定だった本をこのブログに書き起こしてみたが、
「あれもいいな、これも……」とドンドン浮かんでくるのは我ながら不思議である。
例えば……
杉山満丸『グリーン・ファーザー』
山田風太郎『幻燈辻馬車』
アガサ・クリスティー『春にして君を別れ』
等々。
あ、そうだ。
久生十蘭の短編……「黄泉から」「春雪」「鶴鍋」「ユモレスク」……を出したかったけど前回の「恋愛小説」テーマで出しちゃったしなぁ……。