康綺堂の本読み備忘録

読んだ本の感想や探偵小説の考察等のブログです。

堂廻面食の途中

昨年から夢野久作ドグラ・マグラ』を沖積舎の初刊本復刻版で再読しているが、諸々の事情で絶賛停滞中である。

かの有名な「スカラカチャカポコ」や「胎児の夢」の迷宮を抜け「空前絶後の遺言書」までたどり着いたはいいが、隠し撮り映画のくだりでストップ。
戦前に刊行された本の復刻版なので当然ながら総ルビ、少しは読みやすいかなと思いきや
文字の嵐が、夢野久作独特の文体ともつれ合いながら両目と頭の中へ一気に飛び込んでくるような感覚でまさに堂廻面喰、予想以上の大苦戦である。
「角川文庫版で全部読んだよ!」という方はぜひこちらの版にもアタックしてみてほしい。

ドグラ・マグラ』は、幾度とない推敲と改稿の果てに書き上げられた作品として知られているが、完成直前の草稿の一部も残されており、久作本人の筆跡や草稿段階での最終項に対する構想の痕跡から「ブゥゥゥーーン」の円環を辿るのも興味深い。

幾度とない推敲と改稿、作者自身の思想や農業・文学へのアプローチ等々妙な形でリンクが推察されるのが宮沢賢治と『銀河鉄道の夜』だと近年個人的にボンヤリ考えている。夢野久作ドグラ・マグラ』との比較等も夢想しているが、何分年明け以来のバタバタぶりと花粉症により頭ボンヤリ鼻はフガフガという有様で考えが廻らないでいる。
とにもかくにも両作を読み終わらなければ……。